こんにちは。子育て中の調剤薬局事務、ママじむの夏雲です。
みなさん、高額療養費制度って聞いたことありますか?
私の身の回りで聞いてみると、知らない人がたまにいるんですけど、今健康ですぐにこの制度が必要じゃない人は知らない人が多いんじゃないかと思います。
誰でも将来突然大きな怪我をしたり、病気が発覚する可能性はありますが、
(こんなこと考えるのも嫌ですね・・・。)
もしそうなった時、体の心配に加えて金銭面の不安も出てくるかと思います。
そんなとき高額療養費制度についてあらかじめ知っておくと将来の不安が減って、今のうちにどのくらい備えておけばいいのか、心づもりもできると思うんですよね。
高額療養費制度とは?
高額療養費制度とは、病院や調剤薬局で支払う自己負担金が高額になり、限度額を超えた場合に超えた分が戻ってくるという制度です。(※保険制度なので、自由診療、先進医療など保険がきかない診療では使えません。)
調剤薬局で患者さん受付けしていると、けっこうな頻度で「限度額認定証」を持っている人に出くわします。
薬局で使うことはめったにないですが、抗がん剤などの高額なお薬の処方箋を持ってきた患者さんには使うことが稀にあります。
「限度額認定証」ってなに?というと、高額療養費制度を受ける際に、事前に申請して窓口に提示する、はがきサイズの紙です。
最近は、マイナンバーカードがあれば「限度額認定証」の提示なしでも高額療養費制度を受けることも可能になりました。
マイナカードの情報を読み取る機械が設置してある医療機関や調剤薬局で、患者さんが自らのカードを機械に通し、限度額情報を薬局側が読み取ることに患者さんが同意すれば「限度額認定証」は不要にります。
ですから、窓口で高額な治療費の負担を軽くする方法は2つあって、
- 事前に申請して受け取った「限度額認定証」を提示する
- マイナンバーカードを機械にかざして限度額情報を開示することに同意する
このどちらかをすれば、高額な治療費やお薬代が限度額までの支払いで済みます。
仕事のお話をちょっとだけ
うちの薬局では、在宅医療を受けている患者さん宅へ薬剤師が訪問し、お薬のお渡しと服薬指導をするという業務もしているのですが、
先日、在宅医療を受けている患者さんの未払いのお薬代を確認していたら、とんでもない金額になっていたんですね。
(※在宅訪問をしている患者さんのお薬代は、介護保険の申請に時間がかかったりするので数か月分をまとめていただくこともある)
5~7月の3か月間でなんと、約17万円でした。
うちの調剤薬局に来られる患者さんは、1割~2割負担の高齢の方が多いのというのもあるんですけど、数か月分未払いでも10万円超えることはめったにないです。
電話でこちらの患者さんに確認してみたところ、高額療養費制度に申請済みで限度額認定証を持っているとのことでした。
なので、こちらの患者さんが支払い時に限度額認定証をもってきた場合、窓口で支払うのは月ごとの限度額まで。17万円全額払う必要はありません。
気になる限度額
70歳未満の方の区分
所得区分 自己負担限度額 多数該当(※2) ① 区分ア(標準報酬月額83万円以上の方)
(報酬月額81万円以上の方)252,600円+(総医療費※1-842,000円)×1% 140,100円 ② 区分イ(標準報酬月額53万〜79万円の方)
(報酬月額51万5千円以上〜81万円未満の方)167,400円+(総医療費※1-558,000円)×1% 93,000円 ③ 区分ウ(標準報酬月額28万〜50万円の方)
(報酬月額27万円以上〜51万5千円未満の方)80,100円+(総医療費※1-267,000円)×1% 44,400円 ④ 区分エ(標準報酬月額26万円以下の方)
(報酬月額27万円未満の方)57,600円 44,400円 ⑤ 区分オ(低所得者)(被保険者が市区町村民税の非課税者等) 35,400円 24,600円
- ※1総医療費とは保険適用される診察費用の総額(10割)です。
- ※2療養を受けた月以前の1年間に、3ヵ月以上の高額療養費の支給を受けた(限度額適用認定証を使用し、自己負担限度額を負担した場合も含む)場合には、4ヵ月目から「多数該当」となり、自己負担限度額がさらに軽減されます。
「区分ア」または「区分イ」に該当する場合、市区町村民税が非課税であっても、標準報酬月額での「区分ア」または「区分イ」の該当となります。
70歳以上75歳未満の方の区分
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3030/r150/#tasuugaitou全国保険協会
被保険者の所得区分 自己負担限度額 外来(個人ごと) 外来・入院(世帯) ① 現役並み所得者 現役並みⅢ(標準報酬月額83万円以上で高齢受給
者証の負担割合が3割の方)252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
[多数該当:140,100円]現役並みⅡ(標準報酬月額53万〜79万円で高齢受
給者証の負担割合が3割の方)167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
[多数該当:93,000円]現役並みⅠ(標準報酬月額28万〜50万円で高齢受
給者証の負担割合が3割の方)80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
[多数該当:44,400円]② 一般所得者(①および③以外の方) 18,000円(年間上限14.4万円) 57,600円
[多数該当:44,400円]③ 低所得者 Ⅱ(※3)Ⅰ(※4) 8,000円 24,600円15,000円
例として、70歳未満の一般的な収入の方ががんになった場合、病状にもよりますが、もし入院・手術となれば1回に100万~200万ほどかかると言われています。
ですが、高額療養費制度をつかえば、1か月の窓口負担を5~9万円までに抑えられるんです。
そして、3か月以上制度を利用した場合、4か月目以降は「多数該当」にあてはまり、さらに減額されます。
だいぶ負担が軽くなりますよね。
※高額療養費制度は保険制度なので、先進医療、自由診療など保険がきかない診療については使えないので注意です。その場合は自費払いになります。
世帯合算、複数医療機関での合算もできる
同じ世帯で自分以外の家族が医療費の支払いをしていたり、複数の医療機関に受診していたりすれば、合算して限度額を超えた分は払い戻しを受けられます。
払い戻しには必ず申請が必要で、ご加入の保険の保険者に必要書類を提出することで申請できます。
保険者と連絡先は、お手持ちの有効な保険証に記載されているので、申請する際に気になることはそちらに問い合わせしてみてくださいね。
医療機関ごとの合算
複数の医療機関で受診した場合、合算して1月の限度額を超えた分は払い戻しを受けられます。
ですが、注意点があります。同じ医療機関でも、
- 医科入院、
- 医科外来、
- 歯科入院、
- 歯科外来
というグループにわけて計算されるので、単純に医療機関ごとというわけではないんですね。
ちなみに、調剤薬局で調剤を受けた場合は、薬局で支払った自己負担分を処方元の医療機関に含めて計算されるそうです。
さて、合算するときに抑えておきたいポイントがあります。
- 70歳未満の人は1月の負担額が21,000円以上にならないと合算できない(70歳以上は全額合算OK)というルール
- 月ごとに計算するというルール
1つ目は、例えば外来で支払った自己負担が21000円を超えていない場合、その分は合算できないということになります。
2つ目は、例えば月末から治療を始めた場合、その月分が21000円を超えていなければ合算できません。
治療費・薬剤費は、患者さんが決められることじゃないと思うので、ちょっとモヤッとしそうですね。
治療開始時期は緊急時は仕方ないとして、担当医師と相談してずらせるなら、月が替わってから治療開始できるようにしたいところですよね。
条件を満たしていれば合算できるので、加入している保険者に相談してみましょう。
世帯合算
同じ世帯の中でも、自分以外の家族が支払った医療費の自己負担分も合算できます。
ここでの注意点は、
- その家族が同じ公的保険に加入していること
国民健康保険加入者と社会保険加入者では、高額療養費を支給する機関が違うので、合算・払い戻しはできません。
共働き夫婦など、別々の保険に加入している場合も合算の対象外です。
同じ保険に加入している家族同士であれば、合算・払い戻しをしてもらえますので、
保険証を確認してみて、医療費を支払った家族が自分と同じ保険に加入しているとわかれば、合算の申請をしたいですね。
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