【調剤薬局事務】10月1日から処方箋様式が変わるらしい。長期収載品って?選定療養って?

調剤事務の仕事

10月から開始になる、長期収載品処方の取り扱いについてまとめました。

さっそくですが、令和6年3月27日に厚生労働省から出ている通知です。

改正の趣旨
(1) 令和6年 10 月1日より、長期収載品(後発医薬品のある先発医薬品(昭和 42
年9月 30 日以前の薬事法(現行の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性
の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号))の規定による製造の承認がさ
れた医薬品であって、価格差のある後発医薬品があるもの(いわゆる「準先発品」)
を含む。)をいう。以下同じ。)の処方等又は調剤について、選定療養の仕組みを
導入とすることとされたところ。

長期収載品の処方等又は調剤について(通知)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/15-4.pdf

そういうわけで、令和6年10月日から、長期収載品の処方・調剤については選定療養になるになるらしいです。

選定療養となれば、保険給付はどうなるかというと・・・

保険給付は、長期収載品の薬価と後発医薬品の最高価格帯の価格差の4分の3までとする
こととしたこと。

長期収載品の処方等又は調剤について(通知)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/15-4.pdf

患者負担は、長期収載品の薬価と後発品の最高価格帯の価格差の1/4になります。

う~ん、、ややこしい。。

そこまで細かい料金設定した理由って何だろう?わかりません・・・

とにかく事務としては、今後の入力や患者対応がどうなるのか心配なところですよね。

そもそも長期収載品や選定療養ってどいう意味?この通知によって処方箋様式や薬局の対応がどのように変わるの?ということについてまとめてみました。

長期収載品・選定療養ってなに?

まず、書かれている、長期収載品と選定医療ってなによ?ってことなんです。

今回、ちゃんと調べてみました。(よく見たら上の通知に書かれてた・・・)

長期収載品とは、再審査機関・特許期間を過ぎてジェネリックが発売されている先発医薬品のこと

薬価基準に収載されている期間が長いことからこのように呼ぶそうです。

次は選定療養。

厚労省が特別に認める保険医療との併用が認められる医療には3種類ありますが、その中の1つが選定療養で、

(※保険診療と自由診療の併用は混合診療といって基本的に禁止されています。)

保険適用を前提としない(今後保険適用になるための評価がされない)、患者が特別に希望したときに受けられる医療のことです。

選定療養には、差額ベッド代や、歯科の金合金等があります。

<引用>
〇保険外併用療養費制度について
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000921208.pdf

選定療養は、詳しく調べてみると知らなかったことが色々わかって、へ~ってなりました。

(超絶個人的な意見・・・失礼しました;;)

つまり、選定療養とは、混合診療の中でも厚労省が特別にみとめた、保険外診療と自由診療の併用ってとこですかね。

つづいて、本題の長期収載品の選定療養についてくわしく見ていきます。

通知をよく読んでわかったのですが、長期収載品の処方・調剤でも、まるっと保険がきく場合もあるようです。

まず、気になる処方箋様式がどう変わるのか見ていきましょう。

処方箋様式の変更点

(2) 具体的には、次に掲げる改正を行うこととしたこと。
① 「変更不可」欄に「(医療上必要)」を追加し、処方を行う保険医(以下「処
方医」という。)が、処方箋に記載した医薬品(長期収載品)について、医療上
の必要性があるため、後発医薬品に変更することに差し支えがあると判断した
場合に、「変更不可(医療上必要)」欄に「✓」又は「×」を医薬品ごとに記載
し、かつ、「保険医署名」欄に署名又は記名・押印することとしたこと。
② 「患者希望」欄を新設し、患者の希望を踏まえ、長期収載品を銘柄名処方する
場合には、「患者希望」欄に「✓」又は「×」を医薬品ごとに記載することとし
たこと。
2 長期収載品の処方箋の交付等に係る基本的な考え方について
(1) 長期収載品について、処方箋が交付され、保険薬局において調剤される場合

長期収載品の処方等又は調剤について(通知)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/15-4.pdf

つまりまとめると、

  • 変更不可欄に『(医療上必要)』という文言が追加
  • 患者希望欄の新設

変更不可欄は今まで患者が希望したからという理由で変更不可チェックがついているパターンもあって疑義するか患者さんに聞くかでしかわからなかったのが、

これからは処方医が医療上必要で処方しているのか、患者希望しているのか、はっきりわかるようになるってことですね。

選定療養になる場合

処方箋様式がどうなるか理解したうえで、どんな場合に選定療養になるのか。

  • 「患者希望」欄に「✓」「×」が記載されている長期収載品処方(変更不可欄チェックなし)
  • 「変更不可(医療上必要)」欄「患者希望」欄どちらにも「✓」「×」の記載がなく、患者が希望する場合

例:長期収載品のヒルドイドを調剤した場合、患者負担はどれくらいアップするか?

医薬品名薬価25g処方時の薬剤料
ヒルドイドソフト軟膏(長期収載品)18.5046点
ヘパリン類似物質油性クリーム0.3%「アメル」6.614点

ヒルドイドのジェネリックで一番薬価が高いのはヘパリン類似物質油性クリーム0.3%「アメル」。

3割負担の人の負担額を計算してみると・・・

  • ヒルドイドを調剤する場合は46×3=138だから140円、
  • ヘパリン類似物質の場合は14×3=42だから40円で、

差額100円。

患者負担は長期収載品の薬価と後発品の最高価格帯の価格差の1/4なので、

100÷4=25で従来の30円アップという感じですかね。

保険がきく場合

次の条件を一つでも満たした場合は、まるっと保険適用になります。

  • 「変更不可(医療上必要)」欄に「✓」「×」が記載されている長期収載品処方
  • 後発医薬品の在庫状況などを踏まえ後発医薬品を提供することが困難な場合

今後の調剤薬局内の行動はどう変わる?

(2) 処方医は、選定療養に係る処方に当たり、後発医薬品が選択可能であること、
長期収載品を患者が希望した場合には特別の料金が生じ得ること等に関し、患者
に十分な説明を行うこと。また、保険薬局の薬剤師も、調剤時に同様の事項を説明
し、患者の希望を確認すること。
3 長期収載品を銘柄名処方する場合における取扱について

長期収載品の処方等又は調剤について(通知)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/15-4.pdf

薬剤師に求めていることは、投薬する際に後発医薬品が選択可能であること、いつもの薬にこだわったりしてあえて長期収載品を希望する場合は上乗せで料金が発生することを患者に伝えること

それにともない、事務の動きがどうなるか考えてみたんですが、

算定に関してつねに気を配っている薬剤師のもとで働いている事務さんは、必要ないことかもしれないですが、誠に残念ながらうちの薬局は違うので、

処方箋を受け取ったら長期収載品の有無、「変更不可(医療上必要)」「患者希望」欄を確認し、薬剤師から患者への説明が必要かどうかを判断したあと、必要ならば、

薬剤師に伝え説明してもらえるようお願いするという手間は発生しそうだなーと思いました。

札とか作って処方箋送るときに貼っとくのが一番楽でしょうね。

具体的に思い浮かぶのは、事前に薬剤師に話しておいて、付箋などに「長期収載あり」とか書いておいて処方箋に貼って薬剤師に送るのがいいかと。フィルムタイプの付箋なら何回も使えます。

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この付箋、うちの薬局でヘビロテ使いしてるんですけど、フィルムが分厚くてしっかりしていて、粘着部分もかなり長持ちします。小さいので処方箋に貼っても邪魔にならないから使いやすいくてめちゃくちゃおすすめです。

・・・というか、よく考えたら、現場的には、入力時点で最初に気づく事務が患者さんに説明する流れになるかもしれませんね。

できれば薬剤師に説明してほしいところだけれど、入力後、投薬台で患者に説明→薬変更→入力し直しとなるよりも、入力の前に確認したほうが患者さんをさらに待たせずにすみますし、入力の効率もいいかもしれません。

あれっおかしいな、個人的な見解では、

事務しか仕事増える未来しかみえない。

実際には現場でどんな動きになるかわかりませんけどねー。^^;

薬剤師が説明することの法的な拘束力がどれくらいあるのか、これからの通知で出てくるのかな。

長期収載品か否かも、頻回に処方に出ている薬ならなんとなくわかるけど、それ以外はわからないのでいちいちレセコンで確認する必要がありそうです。

レセコン会社がこの通知を受けてどのようにレセコンの仕様を変えてくるかに超期待します。

最後まで読んでいただきありがとうございました♩

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